なんで好きなのに別れたくなるんですか?(2/3)ー “アッパーリミット”と幸福破壊衝動

 ありがとうございます。
 
 ask.fmにいただいた質問

「なんで好きなのに別れたくなるんですか?以前付き合っていた彼女が簡単に言えばメンヘラだったんですけど、頻繁に別れたいと言われることに耐えられず遂に別れてしまいました。」

 

 にメンヘラなりにお答えするという形で、頻繁に恋人に別れを切り出してしまう女(わりとよくいる)を3タイプに分類。 
  1. 彼の愛を確認する手段として別れ話を利用するタイプ
  2. 恋人との予期しない別れに耐えられないのでそれならば自分から終わらせたほうがマシだ思考タイプ
  3. 自分なんかと付き合っている恋人が哀れで気の毒でたまらなくなり恋人の幸せのためには自分などいない方がいいと思い込むタイ 

 

 そして、彼女達はいったいナゼそんな暴挙に及んでしまうのか?について、少し掘り下げてタイプ1から説明してまいりました。
 まだ読まれていない方はよろしければお読みください。
 
 読んでくださったみなさんの反応が面白かったので少し抜粋させていただくと、
  

『あ〜こういう悲劇のヒロイン気取りの女いるよね、死ね』(メンヘラに親を殺された、あるいはメンヘラに青春時代を浪費した哀れな男性)

『友達がこのタイプすぎてww』(自分はこんな異常者ではないという自負とタイプに該当する女への軽蔑)

『わかりすぎてヤバい!!わたしゼッタイ2か3だ!!』(なぜか誇らしげ)

『ぁ...コレやってた...もうしないけど...』(ダメダメ聞こえないよ!もっと声出して!)

 

 多種多様ですね。ありがたいことです。
 前回詳述したタイプ1については、元々広く認知されてきた「厄介なメンヘラ」の典型スタイルでした。私自身はやや同情的に書いたつもりでしたが、女の子はともあれ男性は、過去にこの手の女に苦しめられたトラウマが呼び起こされたのかただ時流にノって同調批判したいだけのほぼ童貞か、やはり反感を抱かれた人が多かったようです。
 致し方ないことではあると思います。けれども実は私は、こういう類のメンヘラに対する風圧が少しでも穏やかになれば良いなと思ってこれを書いているフシもあります。判断するのは読んでくださるみなさんですが。
 
 今回次回とお話するタイプ2、タイプ3は、前回登場したような、所謂よく知られている方の「すぐに別れを切り出す女」とは少し様相を異にするようです。
 
  それでは、お時間のある方はしばらくお付き合いください。

 

 

2:恋人との予期しない別れに耐えられないのでそれならば自分から終わらせたほうがマシだ思考タイプ

 
 恋人のことが好きで好きでたまらなくて、今がまさに幸せの絶頂。今までの人生にろくなこともなかったし、自分のことをこんなに愛してくれる人ももう現れないかもしれない。仕事も毎日辛いだけだし友達もいない、自分を見ていてくれる人も応援してくれる人も守ってくれる人も彼しかいない。
 切実な思いで恋愛にすべてを捧げている、そんな女がタイプ2です。
 私です。
 
 そんなに幸せなのに、安定しているのに、どうしてワザワザ別れを強く意識してしまうのでしょうか。贅沢な我が儘にも思えます。SNSでこんな悩みを不用意に発言しようものなら、世が世であれば絶賛片思い中の女子やつれない彼氏に日々振り回されボロボロになっている女子達の怒りを買い、かのマリー・アントワネットのようにギロチンで断首されかねません。
 しかしこの強い、ややもすると強烈すぎる幸福感こそが彼女を何よりも苦しめているのです。
 

 そもそも極端な話、幸福を全く知らなければ不幸を嘆くこともありません。逆に言えば生来ありとあらゆるものに恵まれ幸福に包まれてきた人は大して幸福感を抱くことがない、とも言えるでしょう。しかし幸福とは得てして相対的なものであり、傍目に幸せに見えてもほとんど全ての人は必ずどこかで何かしらの不幸を背負っているものですが。

 先に挙げたマリー・アントワネットだって、彼女は貧困を知らなかったがゆえに不用意な発言をかまし貧困に喘ぐ群衆に殺されましたが、彼女の人生は決して幸福とは言いがたかったことが語られています。幸不幸の基準は大きな個人差があることをまず踏まえておいてもらえるとありがたいです。

 
 さて、このタイプの女の子は、だから(あくまで自分基準の)不幸のもとに生を享け、長らく苦しんできたと(あくまで本人が主観的に)強く思っているために、幸福がいかに脆いものであるかを知っていて、その崇高さ、危うさに恐れおののくのです。
 だからといってこのタイプの女みんながみんな幼少期から絶対的に不幸だった結果としてメンがヘラってしまった、誰からも憐れまれ手厚く保護されるべき可哀想な捨て猫ちゃんなのかといえば決してそうではありません。さっきも言ったように、幸不幸の基準は個人によって異なるのです。だから、この「あくまで自分基準の不幸」なのがポイントであって、そこには視野の狭さや認知の歪みが起因している場合だってもちろんあります。
 (ていうかこの世のありとあらゆる判断基準は人によって異なるのは当たり前なんだよね、忘れがちだけど。)
 
 そしてこのタイプに共通することがもう一つ。その幸福ーー優しい彼との楽しい時間、自分を包み込む大きな、そして無条件の愛ーーに自分は分不相応だと思っている、ということです。
 自分の努力の果てにつかみ取った成功であれば、その栄光は自身にふさわしいものであり、そう簡単に消え失せることなどないと胸を張ることができるでしょう。もし存続が危うくなったとしても、なんとしても逃すまいと強気で困難に立ち向かうこともできるでしょう。だって自分はそれを享受するにふさわしい人間であると信じることができるのですから。
 そんなふうには到底思えないタイプ2の女は自分なんかごく普通、どころか普通以下で存在価値も女としての魅力もないのに棚からボタ餅さながら、棚からある日突然理想の彼が降ってきた、そんな風にすら感じています。「なんで私のことなんか好きになってくれたの?」が口グセです。ボタ餅は食べたらなくなってしまうし、放っておいても腐ってしまいます。手に余る幸福をもてあましてしまいます。
 
 でも、分不相応の幸福を手に入れたからといって、どうしてそれをみすみす壊したくなってしまうのでしょうか?
 分不相応の幸福、つまりラッキーは誰にでも転がってきうるものですよね。それをヤッター嬉しい!と拾い上げるか、ウワっなにこれ...と全身全霊の力で空の彼方へ蹴り飛ばしてしまうか、そこに普通の人とそうでないタイプ2の女との最大の違いがあるといえます。
 
 ここにマジで拙い絵で大変恐縮ですが、以前描いた4コママンガを紹介します。
 

 

 「アッパーリミット」(上限)とは所謂「成功不安」の一つです。最近になって主にスピリチュアル界隈やメンタルヘルス界隈で聞かれるようになった概念で、未だ学術的にほとんど言及されていないようです。簡単に言えば人にはそれぞれ受容できる幸せの限度(アッパーリミット)があり、それを超えてしまうと無意識にその「幸せすぎる」状態から抜け出そうとしてしまう、というものです。なるほどなぁ、確かにあるかも。と私は自分の胸に手を当てながら思います。
 これには幼い頃の家庭環境が影響しているとかいろいろ言われていますが、そういった要因については語るのを止めておきます。専門家でもないし、客観的視点も持ち合わせていないからです。
 
 この症状というか傾向というか、まぁ癖(ヘキ)とでも言いましょうか、これがタイプ2の女の思考に大きく関わってくると私は考えています。
 このマンガにある花畑は=幸福 と置き換えられます。つまり彼女達は、自分の目の前で為す術なく幸福が崩れていってしまうことを何より恐れているのです。ネガティブ、という言葉だけでは片付けられない、強烈な負のオーラを感じます。
 
 そうでなくても分不相応の幸福はただでさえ人を狂わせます。宝くじで大金を得た一般人の多くがろくな生き方をしない(あくまでイメージ)のと一緒です。それは、幸福は突然湧いてくることはあっても、実は維持には大変な手間がかかり、しかもその労力は往々にして忘れられがちだからです。
 美しい花畑も手入れを怠れば枯れてしまいます。大金だってムダ使いによってあっというまに消え去ります。そして、心地よい恋人からの愛はその実、どこまでも不確定です。
 
 これから先の計り知れないその苦労を思ったとき、自分の力ではこの幸福を維持するのはムリだと諦めたとき。じゃあ、崩れていくのを黙って見ているよりは自分で壊してしまえ、と思ってしまうのです。
 
 今は私を愛してくれる恋人だけど、いつかきっと嫌われてしまうだろう、彼に私は似合わないし、かといって彼に好きでいてもらい続けるための努力なんて私なんかにはきっとムリ。
 こんなことなら最初から出会わなければよかった。好きになんかならなきゃ、勇気を出して告白なんかしなかったらよかった。そうしたらこんな幸福も知れなかったけれど、少なくともこれから受ける痛みだって知らずに済んだ。
 じゃあいっそ傷がまだ比較的に浅いうちに終わらせてしまおう、今よりもっと好きになってからでは、もっと頼り切ってしまってからでは、彼の存在が無くなったときに受けるダメージに耐えられなくなってしまうかもしれない。

 (ちょっとクサすぎたかな...)これが、2:恋人との予期しない別れに耐えられないのでそれならば自分から終わらせたほうがマシだ思考タイプ の思考回路です。

 
 いかがでしたでしょうか?
 すぐに「別れよう」と口走る女って、計算高くて自己中心的なクソメンヘラに決まってるじゃねぇか死ねと憤慨する健全な男性諸氏にも、少し見方を変えてもらえたらという気持ちでタラタラと説明してきました。
 前回最後に申し上げたように、大好きでたまらない彼に「別れよう」という爆弾を投げつけるとき、メンヘラはメンヘラなりの切実さを以てやらかしてしまっているのですね。
 まぁーだけどこのタイプだからといって褒められるようなものではもちろんなくって本当はもっと言いたいこともあるのですが、それとあと、このタイプへの対策については次回に取っておくことにいたします。
(どんどんいろんなものが先延ばしになってるぞ...大丈夫かな)
 
 さて、項目として残るはあとひとつ  3:自分なんかと付き合っている恋人が哀れで気の毒でたまらなくなり、恋人の幸せのためには自分などいない方がいいと思い込むタイプ の説明だけとなりました。
 今回もなかなかに長くなってしまいましたが、無事にコレ書ききれるんでしょうか。メチャクチャ不安です。
 
 
 
 
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 それではみなさん素敵な水曜の夜を。